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中村活字 / 店主

中村活字 / 店主 中村 明久

人を喜ばせたいという
気持ちが生み出した
幸運を運ぶ名刺。

歌舞伎座の裏手を歩き、華やかな繁華街から少し離れた銀座二丁目で、114年もの間営業を続けてきた「中村活字」。戦後から変わらない趣を残した店先の棚には鉛合金で作られた字型である「活字」が並び、奥の作業場で5代目店主の中村明久さんが1文字ずつ文字を棚から拾って組版し、活版印刷をしている。

「今となっては珍しくなってしまった活版印刷だけど、全盛期にはこの辺りにも200軒ほど印刷屋があったんですよ。正直、パソコンとプリンターを使って印刷するのが当たり前になってからは、営業を続けていくのが厳しい時もありました。でも、お客様から『辞めないで』という声をいただいて続けてきました」

活版印刷による「中村活字」の名刺は、デジタル印刷が主流となった今も、変わらず多くの人々に愛され続けている。

「名刺を作る時は、直接お客様とお会いするようにしています。『どのような人柄なのか』、『どのような仕事をしているのか』など、しっかり話を聞き理解した上で名刺を作りたいんです。それによって、選ぶ字体や文字の配置も変わってきます。やっぱり、人となりを表現できる名刺にしたいですからね。そして不思議なことに、うちの名刺のおかげで仕事がうまくいったというお客様が多くて……。普通はそんなこと起きないと思うけれど、そういう声を聞くと嬉しいですね」

「幸運の名刺」が評判となり世代問わずリピーターが増えているそうだ。活版印刷が再び若い世代に注目されるきっかけとなっている。そんな中村さんの考えるクラフトマンシップについて伺った。

「人に喜びを与えることです。やっぱり自分が作った名刺を見て、喜んでもらえるのはとても嬉しいですからね。お客様がうちで作った名刺を取引先に渡したら、『中村活字の名刺ですよね?』と話題になったなんて話も聞きました。名刺を介したコミュニケーションが生まれていたんです。知らないところでうちの名刺が人を繋いでいるのも面白いですよね」

中村活字

住所:東京都中央区銀座2-13−7
TEL:03-3541-6563

中村 明久

創業114年の「中村活字」の5代目店主。

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